人々の行動や志向、社会で機能するシステムや機器、世界中の経済活動や自然界の現象まで、情報技術の発達により、いまや世の中のあらゆるものがデータ化されています。それら「ビッグデータ」と呼ばれる巨大で複雑なデータは、人々の行動など機械的に解析できなかったものを解析して予測し、これまでにない答えを導き出して新しい社会を生み出す起爆剤になるとされています。しかし、ビッグデータが巨大で複雑なため、その管理や解析の方法はまだ開発の途中。そんな中で東京都市大学の田村慶信先生が開発したのが、ビッグデータを管理する「クラウドサービス」の最適なメンテナンスを実現するソフトウェアです。
「ビッグデータはセキュリティ等の面から、誰もが自由に使用し、改善改良することのできるオープンソースソフトウェアで構築されたクラウドサービスで管理するのが一般的になってきました。しかしクラウドサービスは24時間稼働で計画的なメンテナンスができず、その規模の大きさから、障害が発生すれば世界規模のトラブルに波及する危うさを秘めています。ビッグデータの収集や解析といった技術がさらに進化していくには、そのインフラとなるクラウドサービスの進化も欠かせないものとなるのです」
メンテナンス実施の最適なタイミングを検出。
次代の技術発展のためにインフラも進化する。
クラウドでのデータ保管とは、たとえばスマホやパソコンではなくネットワーク上にデータを保管するというもの。その特性上、クラウドサービスは稼働直後にノイズが多く発生してしまい、このタイミングでメンテナンスを行うと、バグの発生リスクが上がり、その対策のためにメンテナンスにかかる時間と費用が上がってしまいます。この問題を解決するために田村先生が開発したソフトウェアは、クラウドサービス上のノイズ等を解析し、時間と費用が最も少なくて済むメンテナンスのタイミングを検出する機能を備えているのです。
「このソフトは今後さらなる検証を行って信頼性を高め、社会での導入を進めることが目標です。またメンテナンスの時期を測るだけでなく、サービスの稼働率を算出する機能の開発も並行して進めています」と語る田村先生ですが、さらなる将来には、クラウドサービス自身が稼働状況や管理データを深層学習し、自分自身を自動修復するシステムの開発をめざしているという。これが完成すれば、これまで多くの人員を必要としてきたメンテナンスは完全に自動化。ネットワーク上のサービスが自分自身のことを理解し、問題を発見し、保守管理するという、SFのような未来が実現することとなります。
縦軸はコスト、横軸に時間を示した開発されたソフトウェアの画面。線の乱れは、稼働直後のノイズを表している。
・機械システム工学科
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(現:知識工学部 自然科学科)
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大学の根幹となる工学部を改編し新時代の学びを創出
東京都市大学では2020年4月より、創立以来、長きにわたり大学の根幹を担ってきた「工学部」を改編し、「理工学部」への名称変更と「建築都市デザイン学部」を新設。合わせて2007年に開設した「知識工学部」を「情報工学部」に名称変更します。学部名称と学びのフィールドをより明確にするとともに、大学と大学院の連携体制をより強固にすることが狙いです。